ねぇ確信犯、うるさいよ
「すきだよ」
どうしてわたし、気づいちゃったんだろう。
「……知ってる」
『ははは』って笑い声が、震えて掠れた、繕いでしかなかったこと。
『ふぅん』って言いながら、長い睫毛を伏せたこと。
彼がつくうそは自分が小さい頃に騙されていたもので、ただの話題でしかなかったこと。
わたしの手からシャープペンシルを抜き取ったとき、触れた一瞬のあと、少したじろいだこと。
『おれのこと、よくえがけてるもんね?』なんて言いながら、耳が少し赤くなっていたこと。
わたしが椅子に座り込んだとき、机を挟んだ向かいの位置にいるから、助けることなんてできないのに。それでも、手を伸ばしてくれていたこと。
「うん、だよね」