元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する

会社に着くまでの時間、杏奈は必死に仕事に頭も心も切り替えようとしていた。
でもなかなかできない。

この5年間いろいろなことがあった。

瑠衣について行っていたら、どんな未来が待っていただろうかと何度も考えた。
でもできなかったから仕方ない。忘れて気持ちを切り替えないとならないと何度も自分に言い聞かせて来た。
なのに、今、何年も忘れられずに心にいた瑠衣がすぐ隣にいる。

しかも今日から仕事を一緒にすることになる・・・。

『君を忘れたことなんてなかった』

私だって・・・瑠衣を忘れたことなんてなかった・・・


そんな想いに必死に蓋をする杏奈だった。