元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する

杏奈は瑠衣の横に進むと、座っている瑠衣と目をあわせるようにしゃがんだ。

「今だけは許してください」
「ん？」
杏奈の方を見る瑠衣。

杏奈はそっと瑠衣の頬に手をあてた。

「絶対に後悔するから。ちゃんとあってほしい。きっと瑠衣のお母さんは待ってるはずだよ？瑠衣を待ってる。」
「杏奈・・・」
本当は会食など行かなくていいと言ってあげたい杏奈。でも、社長として頑張り続けている瑠衣の気持ちを知っているからこそ、そんなことは言えない。

「ね？会議のことは私に任せて。10時半に病院に完璧な資料を作って持っていくから。瑠衣はお母さんとの時間、大切にして。お願い。」

瑠衣はぐいっと杏奈の体を抱き寄せた。
杏奈の胸に自分の額を当てて瑠衣は目を閉じる。