元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する
「お荷物は先に運び込んであります。レイアウト等、何かあればいつでもお伝えください。」
「ありがとう」
「・・・いえ・・・」
一緒にエレベーターに乗りながら社長室へと向かう。

瑠衣の背中をちらりと見つめながら杏奈はその背中が大きく見えた。

「会議には理事長は参加されません。事前資料はお読みになられましたか?」
「あぁ。会議前も時間があるからもう一度読む予定だ。」
「承知しました。ほかに必要な資料がありましたらお伝えください。」
「じゃあ。」
瑠衣はそう言って自分の胸ポケットの中からメモ用紙を一枚出した。
「その資料を俺のPCに送ってくれるか?」
「はい」
そのメモには会議に関係のない過去の武藤製薬の商品に関してや予算・決算案、取引先の他社との製品に関する物など、杏奈には予想外のものが書かれていた。
「事前に勉強はかなりしてるけど、これは会社じゃないとみれない資料だからまだ把握が甘いんだ。」
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