元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する
「今日はもものタルトにしたの」
ケーキの箱を母に見せると母は嬉しそうに微笑んだ。
「桃?もうそんな季節なの?」
嬉しそうな母。

病院に来るときはいつも母の大好きなケーキを買ってくる。
ケーキの種類は決まって季節の果物をつかったもの。

母はいつの日からかケーキをひとつ食べきることができなくなった。

それでもいい。

生きていてくれたらいい。

杏奈はそんなことを考えながら週末はケーキを買って、母の病院に来る。
長くいたくても、母は杏奈が病院に来ると無理して体を起こして疲れてしまう。

だから杏奈は我慢して、ケーキを食べ終わると病院をあとにするようにしていた。
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