捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
「人にそう言われた経験はほとんどないな」

「ママはね、やさしいよ。ときどきおこるから、こわいけど」

「……翠が好きか?」

「みろり?」

「ママの名前だ」

「みろり……」

(すごい、ちゃんと会話してる)

 謎の感動を覚えながら、調理していた手を止める。

 あのふたりが揃っているところを何度夢に見ただろう。普通の家族として、当たり前のように接しているところを見たいと、ずっと願い続けていた。

(……鳴のことに関してだけは期待していいよね)

 フライパンの火を止めて野菜炒めを皿に移す。うつむいたはずみにぽたりと目から溢れたものが手に落ちて、溜息を吐いた。

(私、こんなに涙もろかったっけ)

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