捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 他人事のようでいて、労わるような響きを感じる。もっとも、そうだったらいいなと思ったせいでそんなふうに聞こえたのかもしれないけれど。

「翠」

「ん?」

 鳴にまた食べさせてから涼さんの方を向くと、なぜか目の前にご飯が乗ったレンゲを差し出されていた。

「え、と」

「これならお前も食えるだろう。口を開けろ」

 きょとんと涼さんを見つめてしまった。

 まさか、私があーんさせられることになるとは。

「別に気にしなくてもいいのに。いつものことだし」

「俺が落ち着かん」

「そう思ってくれるだけ、いいお父さんなのかもね」

 ひとりでさっさと食事を済ませるような人でなくてよかったと苦笑する。その気持ちに応えるぐらいなら構わないだろうと判断し、おとなしく口を開けた。

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