捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 涼さんが黙り込んだせいで、どうフォローを入れればいいか言葉に詰まってしまった。

(放っておいた方がいいのかもしれない)

 下手に話しかけられるのを好む人じゃないと知っていたから、一度引くことにする。

「私、食器を片付けてくるね。先にお風呂入っててもいいよ」

 そう言い残して台所へ向かう。

 使った食器を洗っている間、悶々と鳴のことを考えていた。

(今まで知らない人に会ってもあそこまで騒がなかったのに……。やっぱり父親が相手だと違うものなのかな。またこんなふうにならないといいけど――)

 そのとき背後で気配がした。振り返る前に抱き締められる。

「……!」

 蛇口から水が流しっぱなしになっていることさえ気にならないほど、頭が真っ白になってしまった。

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