捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 誰が私を抱き締めているのかなんて、考える必要もない。

 鼓動が速くなるのを感じながらそろりと視線を下げると、ちょうどお腹の辺りに涼さんの手が巻き付いていた。

(なに、なんで)

 背中いっぱいに感じるぬくもりは本当に久々だった。なのにその心地よさをまだ身体が覚えている。

「いす、ず、さん?」

 普通に呼びかけたつもりが、焦りのせいで片言になる。返事がない代わりに、右肩にとんと重さを感じた。

 涼さんがそこに顎を乗せている。そうやって私に触れてくるのをこの人は好んでいた。

 弱みなんてなさそうに見えて、意外と甘えることがあるんだと過去の私は驚いたり感動したりしていたけれど、今はまったく別の感情に支配される。

(この人、なにしてるの)

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