捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 私の問いにざああと水の流れる音が重なる。蛇口をちゃんとひねってから逃げればよかった、と思ってしまったのは主婦の悲しいところだろうか。

 でも、今は動揺のせいでうまくものごとを考えられない。

「なぜ逃げる? 鳴の次は俺の番じゃないのか」

「なんの話をしてるの!?」

 ほとんど悲鳴のような声が出てしまった。これもわけのわからないことをする涼さんが悪い。

 これ以上ペースを乱されるわけにはいかなかった。芽衣子が言っていたことを思い出しながら、涼さんを睨みつける。

「次、同じことをしたら引っぱたくからね。ううん、グーで殴る」

 実際、芽衣子ほど勢いをつけてやれるかはともかく、言っておけば多少牽制になるだろうと思った。

 涼さんはというと、なんともいえない微妙な顔をしている。

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