捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 本当に引っぱたけばいいのに、そんなことはすっかり頭から抜け落ちていた。

(こんなキスされて冷静でいられるわけない……)

 ひどく熱っぽくて切ないくらい甘いキスを繰り返され、おかしくなっていくのを自覚する。

「やだ、涼さん……」

「翠」

「っ……名前、呼ばないで……」

 偉そうにお前と呼ばれている間は、この人が恋人だったことも、今は夫だということも忘れていられる。だけど、大切そうに囁かれると理性が溶けた。もっと呼んでほしくてたまらなくなる自分が悔しい。

普段あんなに抑揚のない上から目線の話し方をするくせに、こういうときだけは声が甘くなるのは卑怯だと思った。

(私を許さないって言ったじゃない……)

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