捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 音を立てないようベッドへ近付き、その端に腰を下ろす。ゆっくりスプリングが沈んだものの、彼女が起きる気配はなかった。その髪に触れて、初めて好きだと告げたときのことを思い出す。

 心の準備ができるまで待つと言ったのに、その数時間後にはもう準備ができていた翠を大人げないほど甘やかしてしまった気がする。彼女にとって自分が初めての男だというのもいろんな意味でよくなかった。うれしい、と感じると同時に、強い独占欲が芽生えたのを覚えている。どんな手を使ってでも彼女を繋ぎとめて、ほかの誰も触れられないようにしたいと思った。側にいたいではなく、側にいてほしいと願って。

「……今もそう思っているんだがな」

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