捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 キスをしたことでまた自分の気持ちを知ってしまった。

(欲しがらなくても私の心は涼さんのものだよ。三年前から、ずっと)

 自ら触れたぬくもりはいつまで経っても疼いて残り続ける。

 鳴の頬よりもっと柔らかくて甘い場所にもう一度口付けたかった気持ちは封印した。

 

 家に着いても私たちの間に会話はなかった。

 玄関のドアの前に立ってようやく、眠る鳴を抱っこしていた涼さんが口を開く。

「翠」

「さっきのことなら聞かない」

「……違う」

「じゃあ、なに?」

 涼さんは一瞬間を置いて、ためらいを見せながら言う。

「一緒に暮らさないか」

 え、と涼さんを見上げると、私を見下ろす瞳は優しかった。でも先ほども感じた寂しそうな色がまだ残っている。

「いつもひとりで帰るのがつらい」
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