捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
「まだお話を聞いていませんよ!」

 若い記者だった。

 突然のことに全身が凍り付いて、また勝手に涙が溢れる。

 そんな私の代わりに涼さんが記者の腕を掴んだ。

「どこの出版社だ」

 その声に、一瞬で辺りが静かになった。あんなにうるさかった声も、シャッター音もぴたりとやんでいる。

 私でさえ心臓が止まったかと錯覚したほど、低く冷たい声だった。地の底を這うような声、というのはきっとこういう声を言うに違いない。

 涼さんに咎められた記者は、陸に打ち上げられた魚のように口をぱくぱくさせていた。私から顔は見えないけれど、涼さんは怒りに満ちた声にふさわしい表情をしているのだろう。

「お前も、そこにいるお前もだ」

 涼さんの視線に射抜かれた記者が、ひ、と引きつった声を漏らした。

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