捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 そこにいる全員をゆっくり見回してから、再び目の前にいる記者に視線を戻す。そして、私の腕から引きはがした。

「誰を相手にしているのか、わかってやっているのか」

 ただひたすらに静かな声が、逆に恐ろしい。私でさえ、息をするのも忘れるほど涼さんの激高に動揺してしまう。

「涼さん……」

 祈るように名前を呼ぶと、私の方を向いてくれる。

「どうした?」

 同じ人物が発したとは思えないほど優しい声だった。ここにいる全員がなにごとかと思ったに違いない。私でさえ思ったぐらいなのだから。

「もう、大丈夫です」

 どうしてそう言ったのか自分でもわからなかったけれど、涼さんはなにかを察してくれたようだった。

 車の中にいる鳴を見やって、やっぱり優しく言う。

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