捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 それなのに彼は私を迎えに来てくれなかった。捨てたまま、一度たりとも連絡を取ろうとせず。

 だけど今は私と鳴のために尽くしてくれる。父親としての義務かもしれないけれど、たしかにそこには涼さんの心を感じられた。

「お前も落ち着くまで休むといい」

 そう声をかけられる。

 なにを言っていいかわからず頷くと、涼さんが身じろぎした。

 伸びてきた腕が私の頭を抱え込む。ぎょっとしたのも束の間、軽く引き寄せられた。

 とん、と涼さんの肩に傾いた頭が触れる。こんなふうにこの人に寄りかかったのは、果たしていつ振りだろう。

「涼さん」

「話していないと落ち着かないか?」

「…………」

 心の内を見透かされたようで口をつぐむ。その言葉通り、私は今、沈黙に怯えていた。

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