捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 悲しそうな顔だった。今だけでなく、これまで何度も傷付けてきたのだろうと察してしまうくらいには。

「……最初に私を傷付けたのはあなたじゃない」

「そう思うなら、どうして俺に甘えたいと言うんだ」

 正論だった。憎むなら、憎み続ければいい。傷付けるなら徹底してやればよかったのだ。でも私にはそれができなかった。

「最近まではお前の気持ちが返されなくてもいいと思っていた。だが、はっきりしない態度ばかり取られると期待する」

「私――」

「どうしてこの間、俺にキスをした」

「……あれ、は」

「俺が触れたら逃げるくせに」

 押し殺した感情が露わになる。

 咄嗟に身を引こうとしたけれど、その前に手首を捕らえられた。

「これ以上、耐えられない」

 つらそうに言われて息を呑む。

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