捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 本当は怖かった。突然ここを退職した私を知る人物に会ったらどうしようという思いもあったし、最も会いたくない神立涼のことを考えただけで息が止まりそうになる。このまま逃げ出したい気持ちは強かったけれど、乗り込んだ以上もう逃げられなかった。

 どちらにせよ、小さな会社の営業マンが社長本人と会うことにはならない。今回の依頼は男性に向けた時計ブランドのものだと言うから、私がかつていた女性用アクセサリーブランドの担当にも会わないだろう。

(リラックスして、いつも通りやればいい)

 自分に言い聞かせていた私は、ふと違和感に気付いてしまった。そろそろ止まるだろうと思っていたエレベーターが、なかなか止まらない。

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