捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 ほんのり不安が込み上げてボタンの前に立つ案内スタッフへ声をかけたくなるけれど、そんな気安いことをするのはどうだろうと考え直した。

(ねえ、このまま行くと社長室なんだけど)

 どくんどくんと心臓の音がうるさい。

 私は過去にこうして最上階へ行ったことがある。許せない上司の件を社長本人へ伝えるために。

(社長本人が出てくるようなことなんてありえないでしょ? ちっぽけな広告デザイン会社相手に。少なくとも涼さんはそんなことに時間を使うような人じゃない)

 怖くて、不安で、必死になって言い聞かせる。

 だけどエレベーターは無情にも最上階で止まった。

「こちら奥のドアが社長室になります」

 当たり前のように言われるけれど、すぐには踏み出せなかった。

「社長室……ですか」

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