捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 こんな素敵な誕生日をスーツで迎えるわけにはいかない。着替えのために部屋へ向かう私の背後で、ふたりの声が聞こえてきた。

「だいせいこうでしょ?」

「そうだな。計画した甲斐があった」

「あとでママにおめでとーのおうた、うたおうね」

「……俺もか」

「パパもおうたうたうの!」

「練習しておけばよかったな」

 困り果てた涼さんを振り返りたかったけれど我慢しておく。

 どうしてふたりが仲良くしていることに嫉妬していたのだろう。私のためにこっそり計画を立てていただけだというのに。

(もうちょっと心の余裕を持たなきゃだめね。またひとつ歳を取るんだし)

 自然と足取りが軽くなる。

 鳴が歌う誕生日の歌は想像できるけれど、やっぱり涼さんは想像するのが難しい。

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