捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 この人がそんな顔をするなんて――と思ったのも束の間、腕が緩んだことに気付いて力いっぱい振り払う。

 そのはずみに手を叩いてしまい、響いた音の大きさもあってぎょっとしてしまった。

 けれど、涼さんは驚いた顔をしたまま棒立ちになっている。

 そんなにショックを受けるようなことだったろうか。そうだとして、なにに対して驚いているのか、私にはわからない。

「あなたなんて、大嫌い」

 彼に言っているのか、自分に言い聞かせるために言っているのかわからないまま、なるべくはっきり聞こえるように言い放つ。

 涼さんはなにも言わない。

 ただ、私に振り払われた手をじっと見つめていた。



 一度会社に戻った私は芽衣子に嘘をついた。

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