捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
そう言った社長の声が少し寂しそうで、自分がひどく悪いことをした気になる。眼差しを避けるように視線を下げ、首を横に振っておいた。

「別にそういうことじゃ……」

「ふたりになりたかった。いけなかったか?」

「……どうして、今なんですか」

 ふたりになる機会なら、わざわざ会社が関係ある今でなくてもいい。どうしてもと言うなら、こっそり連絡を取り合って忘年会のあとに会えばいいのだ。それなのにこの人は、わざわざその最中に会いに来た。理由を知りたくて尋ねると、少し笑われる。

「酒が入ると、会いたくなる」

「……え」

「お前は? 酔わないのか?」

「……酔ってるんですか?」

「聞いているのは俺だ」

どきりとしたのは声と言い方のせいではなく、腰に回された手のせいだった。

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