捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 ぴく、と身体が跳ねる。耳を犯されているようなこの感覚はいつも私を焦らせた。そんな場所まで舐められるなんてと恥ずかしくて逃げ出したくなる。なのに、もっとしてほしくてなにもかも差し出したくなる。

「どうして耳までかわいいんだ?」

「なにを言ってるの」

「お前は全部かわいい。困る」

「困らないでよ……」

 強がって言っても、うれしい気持ちを隠し切れない。酔っていても涼さんには気付かれているだろう。ちょっとタガが外れるだけで、記憶を失うほど正気をなくしているわけではないのだから。

「本当に、かわいい」

「っ……」

「好きすぎておかしくなる」

 前もそんなふうに言っていたな、と思いながら涼さんの大きすぎる愛情を受け止める。

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