捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 あの男に会うため、鳴との時間を削る羽目になっているのが悔しくてたまらない。なにごともなければ今頃、絵本でも読みながら寝かしつけていただろう。

 ママ、と呼ぶあどけない顔を思い出して手を握り締める。まだ涼さんに感じる怒りは生きていて、胸の奥でちりちりとくすぶっていた。



 教えられた番号の部屋にたどり着いた私は、刹那もためらわずノックをした。

 微かに物音が聞こえ、ドアが開く。

「ちゃんと来たな」

 昼間とは違うラフな格好をした涼さんが、ほんの少しほっとしたように頬を緩める。

 その顔に一瞬胸が疼いたけれど、思い切り口の中を噛むことで滲んだ気持ちを捨てた。

 いつも張り詰めた空気をまとうこの人が見せる安心した表情を、過去の私は寄り添うことで守ってあげたいと思っていた。

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