捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
「っ、涼さん」
はっと正気に戻る。
今、なにを考えてしまっていた?
この人を受け入れてもいいと、本気で思うなんて自分を許せない。
「出るな」
「私に命令しないでって言いましたよね」
敢えて敬語で言ったからか一瞬拘束が緩んだ。
それをいいことに腕を逃れ、なおバッグで着信を響かせていたスマホを取り出す。
「もしもし?」
『もしもし、翠? ごめんね、鳴くんが熱を出しちゃって』
「えっ」
電話口から聞こえてきた芽衣子の声に、さっと全身の血の気が引く。
鳴がそんな状況だというのに、溺れそうになっていた。過去そうしていたようにこの人の腕の中で甘やかされ、数えきれないくらいのキスを落としてほしいと。
(本当になにを考えてるんだろう。私は鳴の母親なのに……!)