捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 この人は私を捨てた相手で、二十九年の人生で一番の汚点だ。それなのに一挙一動、吐く息さえも意識してしまう。異性としてざわつく思いはいまも健在で、過去のことがなければこの再会を喜ぶくらいにはまだこの人のことが好きだ。

 でも、それを認めることはできない。愛した人に裏切られる思いは一度だけでいい。また心を許して捨てられるのはごめんだ。

「ああ、そうだ」

 もう結婚してしまったのだから、と涼さんに言う。

「どうして私を捨てたの?」

 この三年間、私を苛み続けていたあの結婚式。ふたりだけの結婚式にしてよかった。そうでなければ、親族一同の前でぽつんと無様に立ち尽くす哀れな花嫁を演じることになっていただろうから。

「それを、お前が聞くのか」

「私以外の誰が聞くの」

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