捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 あれは本当にどういう意味だったのだろう。三年前の私が望んでいたのは涼さんとの幸せな生活で、それ以外のことなど考えたこともなかったのに。

 歩き出した涼さんのあとを素直についていきながら、まだしっかりと握られている手に目を向ける。

 この人は逃がさないと言った。私に逃げるつもりがないことも知らずに。

(期待しない。……けど)

 気付かれない程度に、ほんの少しだけ指へと力を込める。

(……この気持ちは簡単に捨てられない)

 救えないほど愚かな自分を心の中で嗤う。

 一生に一度の恋を捧げた相手は、私を振り返らなかった。



「好きなものを買ってやる」

 服屋に連れていかれた私は、偉そうな口調にぽかんとしていた。

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