捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
「お前のことなら全部覚えている。好きなものも嫌いなものも」

 私を見ることなく、ホットコーヒーを口に付けている。その横顔から目を逸らせなくなった。

「……どうして?」

 忘れられない理由が、私と同じであればいいと思ってしまった。また会うきっかけを作ろうとしたのも、かつての気持ちをまだ残しているからだと。

 けれど、やっぱり涼さんは私の期待を裏切った。

「十年も二十年も前のことならともかく、たった三年前だ。一度覚えたことをそう簡単に忘れる方がどうかしている」

「……あ、そう」

 うっかりうれしく思った自分に、落胆するよりもまず呆れる。期待しないと宣言しておきながら、してやられてしまった。

「おかげでおいしいコーヒーが飲めそう。ありがとう」

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