捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 じん、と目頭が熱くなったのは、指輪を陽に透かした際、太陽の光が目に入ったせいだろう。断じて感動したからではない。

(あの日、ちゃんと結婚式をしていたら、私だけの指輪を選んでくれていたんだろうか)

 考えても意味のないことを考えてしまったのも、なんとなく感慨深い思いになったからで深い意味はないはずだ。

 胸がいっぱいになっているなんて知られたくない。これは愛のない夫婦としてやっていくことを決めた契約の証でしかなく、世間一般の夫婦が身につける愛情がこもったものとはまったく違うものだ。わかっているはずなのに、どうしようもなく――うれしい。

 認めざるをえなかった。どんなものであれ、ずっと好きだった人の手で結婚指輪をはめてもらえたのだ。喜ぶなと言われても無理に決まっている。

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