悪戯 ―イタズラ―



逃げなければ――そう思っても、立ち上がることなんてできなくて。


「……っ」

「アイツのことで泣きそうな顔しないで下さい」


さっきより強引にキスをされる。


「僕でいっぱいになって」


こんなの受け入れちゃいけないのに。


どういうわけか、微塵も悪意を感じなくて。


「ここ。気持ちいいんですか」

「やめて」

「イきそうですか」

「だめ、」

「はは。会社でこんなにして。悪い(ひと)だ」


優しい声でイジワルしてこないで。


「思ったより。だらしないカラダしてますね」

「触ら、ないで」

「かわいいですよ。東さん」


理解が追いつかない。


「私を殺すって言ったクセに」

「死んでもらいますよ。アイツが大好きでたまらない、あなたには」
< 23 / 35 >

この作品をシェア

pagetop