悪戯 ―イタズラ―


「……私は」


あの人の、どこが、好きなんだろう。


信じていた優しさは、半分、偽りで。

今のあの人に、尊敬の気持ちは、どのくらい残っているのか。


全部好きだと思っていた。

どんなところも。


ダメなところすら愛せると。


それが、愛だと。


「ふっ……あ……」


どうして愛しているはずの男でなく、

まともに話したことがなかった男に好きにされてるんだろう。


なにかが込み上げてきたとき、タカラくんの手が私からはなれた。


「……え」

「イかせてあげません」


この男もまた、天使の仮面を被った悪魔なのだろうか。


散々弄んで、私が君に落ちたら捨てる?


「アイツじゃなくて。僕に。僕だけに、泣いて下さい」


ううん、あの男より酷い。

笑わせてくれる気がないらしい。

< 24 / 35 >

この作品をシェア

pagetop