悪戯 ―イタズラ―


「どうせ狂うなら。僕に狂って下さい」


タカラくんが、わからない。


「生まれ変わりましょうよ」


きっと幸せになんてしてくれないのに

甘い声で、誘惑してくる。


「……携帯」

「僕のロッカーの中です」

「ほんとかな」

「嘘だと思うなら近くまで行って、これで鳴らしてみればいい。充電して電源は入れておきました」


タカラくんが自分のスマホを私の上着のポケットに入れた。


「……とってきてよ」

「鍵をあげますから。ご自分でどうぞ」

「鍵。どこにあるの」

「ここです」


小さな鍵をいつのまにか掌の上にのせていたタカラくんが、それを親指と人差し指でつまむと――


「なっ」


自分の舌の上へとのせてしまう。


「なにして……」


口を閉じられては取りだせないし。

万が一、呑み込まれでもしたら――


「そこに手を突っ込めって言ってる?」

「手は反則です」

「……は?」

「口でして下さい」
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