ウルルであなたとシャンパンを
いろいろな可能性が思い浮かび、内心ダラダラと冷や汗を流しながらギクシャクと歩く香耶とは違い、ルカはごく自然な動作で長い足を動かし、ゆったりと窓際に歩み寄った。
そして、閉まったままだったカーテンを開くと、窓から晴れ渡った外の景色を眺め、さわやかな笑みを浮かべて香耶を振り返った。
「いい部屋だね」
「あ、うん……」
愛想のない返事を返してしまった香耶を気にするでもなく、ルカは窓の外を指さし、香耶を手招く。
「カヤ。ほら、あそこの、あの時計……見える?」
すんなりと長い指が示す先を覗き込むようにして横に並ぶと、明るい太陽の下、シドニーの街並みを遠くまで見渡すことができた。
「わぁ……」
まるで、映画の中の世界に飛び込んだような感覚に陥って、香耶は引き込まれるように、その景色に見入る。
立ち並ぶ建物は、どこかノスタルジック。
保存されたごく一部ではなく、広く遠くの方まで続くレンガのような風合い。
少し離れた場所に頭を出している近代的な高層ビルが、むしろ場違いのように思える。
この景色を見て、古臭いなんて思う人はいないだろう。
だって、とてもとても素敵だから。