ウルルであなたとシャンパンを
こんな晴れ晴れとした気持ちで朝を迎えられるなんて、日本を出た時には思いもしなかった。
1人ぼっちだと感じた、最初の日も同じく、そう思っていた。
ただ逃げてきただけの旅だったのに。
こんな素敵な場所に来れたんだと、教えてくれて、ありがとう。
そんな喜びと感謝の気持ちをそのままに向けると、ルカはちょっと驚いたように目を大きくした。
「え?……あ、いや……僕は……」
「本当、ルカのこと、女の人だって間違って連絡して、良かった」
昨日、指摘された自分のうっかりを自虐しつつ香耶が笑うと、ルカは少し困ったように眉を寄せた。
「カヤ……あの「あ!そうだ!」」
声を上げてから、ルカの言葉を遮ったことに気づいて。
「あ、ごめん。なに?」
「……なんでもない」
「そう?」
首をかしげてから、つい数分前のことを思い出して。
「あ、そっか!
香耶はもう一度、窓の外に顔を向けた。
「何か、教えてくれようとしてたのよね?ええと……あ!時計って、あれ?あの時計塔のこと?」
さっきのルカのように窓ガラスに指を当て、にょきっと首を出した三角の塔を示すと、ルカはそんな香耶を見て、苦笑するように唇の端を上げた。