【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

「ありがとうございました」
「うん、でも、人が居るところではあんまり話題にしないように。面倒なことになると嫌だから」

 そう答えれば、キラキラと瞳を輝かせてくる。

「ベルンシュタイン先輩が、私を庇ってくださるなんて! 軍紀違反が明るみになれば、多少のお咎めはあるものと覚悟しておりました」
「そんなことないよ。敵との対戦中ならともかく、あれくらいのことで、書類とか調査とか面倒でしょ」
「ご自身の功を誇らずに素晴らしです!」
「だから、そんなことない。買いかぶりすぎだって」

 なんか、変な感じだ。大丈夫か? この子。命拾いしたばかりだから興奮してるのか、そもそも大袈裟に話すのが好きなタイプなのだろうか。

 シュテルは、相変わらずの形ばかりの優しい瞳で、私たちのやり取りを聞いている。
 あれ、内心絶対馬鹿にしてるやつ。

「私も先輩のようになりたいです!」
「……」

 返答に困る。
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