【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「フェルゼンとは幼馴染だ。子供の頃の距離感で話してしまうだけだよ」
「そうなんですね! 安心しました!」
にこやかな笑顔で微笑まれて混乱する。
安心? なにが?
シュテルは相変わらず、ジトーっとこちらを見ている。
「うん? とりあえず、誤解が解けて良かった」
ここで、私とフェルゼンが付き合ってるなんて思われたら、運命の人を探しているフェルゼンに多大な迷惑が掛かってしまう。
それはさすがに申し訳なかった。
「ねぇ、ベルン」
シュテルが真っ黒い笑顔で肩を組んでくる。なんか怒ってる。怒ってる。
「シュテルも怒らないで! フェルゼンとは何でもない! 君のフェルゼン取ったりしない! まさか疑ってるわけじゃないよね?」
「そういうことを言ってるんじゃないんだよ。フェルゼンは女好きで有名だからね」
「だよね!」
「うん、君はなーんにも分かってないようだから、今度じっくり話をしようね?」
「は?」
「じっくり、二人っきりで!」
「え、もしかして、付き合っているのは殿下と……?」
クラウトが素っ頓狂なことを言い出す。
「そんなわけないでしょ! シュテルとも幼馴染なんだって! 私は誰とも付き合ってない!!」
「そうですよね! 良かったです!」
ねぇ、なにが? 何が良いわけ?
肩を組んだまま、シュテルは不気味に笑った。
コワイ。