【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
ビクリとクラウトが恐れ戦く。私だってビックリするわ。
「してるわけないよね! ねぇ?」
シュテルが私に詰め寄る。顔が近い。顔が近い!!
「し、してない! そもそも男同士だ!」
私男じゃないけど。まぁ、公式には男同士だ。
「最近では珍しくありません……し……」
クラウトが言う。
珍しくないの? 知らなかった。
クラウトが顔を赤らめて伺うように私を見た。
シュテルが、ほれ見ろって顔で私を見ている。
なんだよ、なにがほれみろなんだよ!
「それに、さっき……、き、キスされて……いるように見えたので……その、男でもいいのかなとか……」
はぁぁぁぁ? き、キス?
「キスなんかするわけない! 少し耳打ちしただけだよ!! 君のこと口止めしだけで!!」
あの内緒話が誤解を生んだのか。それであんな変な空気だったのだ。