【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「シュテル! 駄目だ! サラマンダーは炎だ、金の属性は無効化される!」
「分かってる! でも、ベルンを残して行けるか!」
退避する士官学生たちと私たちを分断するように、小物のモンスターが回り込む。
氷の防御壁を張る私の背中にシュテルが回り、小物モンスターを振り払う。
「数が多い!」
「ああ」
サラマンダーは今だ諦めずに防御壁を崩そうとしている。みんなの退避路は確保できたはずだ。そろそろ私たちも潮時だが。
「退くのは難しいな。ベルン」
シュテルが苦笑いする。
「まったく。帰ったら退却の勉強だ」
集中を切らせば、あっという間にサラマンダーが防御壁を破るだろう。
だからといって、このままでは、こちらの魔力が切れて負けるのは目に見えている。
応援が欲しい。
フェルゼンが応援を呼んでくれたら!
ブワリとサラマンダーの炎が大きく膨らむ。
氷の防御壁から、炎があふれる。