【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
最前線には道を開いているクラウトがいた。
私はクラウトの横へ急ぐ。
氷のシールドを張ってクラウトを防御する。
「クラウト! 進路を閉じろ!!」
「は、はい!」
開いていた木々が、一斉に行く手を阻むように道を塞ぐ。
自然に出来た生木のバリケードにサラマンダーが炎を吐く。
燃えないように、木のバリケードを凍らせる。
「クラウト! 退路を拓け!! 行け!!」
「はい!」
「俺がサポートする!」
フェルゼンがクラウトにつく。サラマンダーと同じ炎系のフェルゼンは、打ち合うには効果が薄い。氷の私が残るのが最善だ。
「フェルゼン! 困ったら小川の水だ! あの小川は主様に通じる!」
「分かった!! ベルン、無理するなよ!」
「うん!」
フェルゼンは小川に剣を入れ、その水を熱して水蒸気に変えた。キリが立ち上がる。目くらましになる。聖なる水にモンスターは怯む。
シュテルの矢がサラマンダーに向かう。炎に触れて音を立てて溶ける。