【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「そう! 秘密で参加してたんだ」
「イっけない王子様ですね!」
彼がクスクスと笑うから、僕もつられてクスクス笑った。
ワクワクして剣を交わせていると、呆れたような声がかかった。
「そろそろお茶はいかがですか?」
ふと見れば、中庭のあずま屋にはお茶の準備がされていて、侍女が数人侍っていた。
ベルンシュタインと僕は顔を見合わせて笑う。
「シュテルンヒェン殿下」
息を切らしながら名を呼ばれた。そんなのは嫌だ。
「シュテルでいいし、ここでは敬語もいらない」
と同じように息を切らして返した。そう伝えても、みんな殿下をつけるし、丁寧語で話すのが常で、あきらめ半分に言ってみる。
王子だから仕方ないけれど、丁寧な言葉使いに僕は見えない壁を感じていた。