【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「あ、え? えぇーっと、ありがとうでいいのかな?」
「いいんじゃねーの、俺とお前の仲なんだし」
「そ、そっか?」
「ああ、控えめな胸がメイド服にはピッタリだ」
「結局それかーい!!」
ペチリとフェルゼンの鼻を叩き、組んだ肩をふりほどいた。
「イッテーな! なんだよ、誉めてんだろ!」
「オッパイ星人近寄んな!」
「ケツだって好きだ! バカにするな!」
「余計近寄んな!」
プンスカとはや歩きになる私を、宥めながらフェルゼンがついてくる。
いつものくだらないやり取りに心が軽くなって、笑いが自然に漏れてきた。うん、大丈夫だ。
更衣室のドアを閉めようとしたら、フェルゼンが扉を押さえた。
怪訝に思って顔を見る。真面目な瞳が赤く燃えている。