【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
睨みあげればリリトゥは嗤うように鳴く。
私は振り返って観覧席の女騎兵たちに口笛を吹いた。
アイスベルク騎馬隊ならわかる合図だ。混乱する観客先から、ワンピース姿の女たちが駆け寄ってくる。
サーベルを奮って氷で突く。リリトゥは嘲るように熱風を起こしてそれを払う。飛ばされたサーベルを拾おうとすれば、追いすがってくる。
「ベルン様!!」
「剣を取れ!!」
アイスベルクの女騎兵たちが、士官学生たちのサーベルを抜き、リリトゥを囲んだ。これ以上飛び上がれないように氷でリリトゥの足を捕らえる。女騎兵たちのサーベルに氷の魔法をかける。彼女たちは果敢に挑むが、炎の翼が猛威を振るう。
リリトゥの瘴気にあてられて、小物モンスターが土から沸き上がる。
わらわらと足元で邪魔をする。
私の一人の氷の魔法では限界だ。
女騎兵たちは大きな魔力は持っていない。
士官学生たちは混乱していて、とても立ち向かえそうにない。