【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「俺がワザと隠したんだ。……お前が、」
「僕が?」
「あの日、ベルンと一緒に王宮にあがった日。ベルンが女だと知ったら、絶対お前に盗られると思ったんだ」
フェルゼンが絞り出すように答えて、唇を噛んだ。
あんな、昔から。
息を飲む。飲み込んだ肺が熱くて痛い。あんな昔からフェルゼンは。
「お前はアイスベルクに行けない。ベルンもめったに王都に来ない。お前はベルンを男だと思っていたし、言わなければ分からない、そう思った。男だったらお前はベルンを好きにならないはずだからな」
フェルゼンもベルンが好きだった。だから。