【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

「えーっと、……がんばってください」
「って! ひどくない?」
「社交もお勤めの一つでしょ?」
「君だってそうだろ?」
「アイスベルク家は社交的ではない家系なので、今更どうってことはないんですー。私は特に嫡子じゃないですし」
「僕だって王太子じゃない」
「でも、王子様だ」
「ずるい……」
「疲れたらここに戻ってくればいい」
「……そんなのずるい」
「なにがです?」
「あーあー、マレーネはいいな。僕も君とダンスしたかった」
「また無茶な」
「フェルゼンはした!」
「剣舞ですよ?」
「剣舞でもいい、二人で踊ってみたい」

 拗ねたように私を睨む。言っていることは我儘で横暴だけれど、それも愛される人柄なのだ。
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