【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
背中の地面が温かい。草原に舞う虫たちの羽音が近い。寝転がって雲を追っていると、まるで自分たちのほうが動いているような気がする。
「へんなきぶん」
ベルンが言った。俺はゴロリと転がってベルンを見る。ベルンは寝転がったまま、手をのばして空を見ている。
「寝転がってるはずなのに、私がグルグル回ってるみたい」
俺が思っていたそのままをベルンが口にした。
「僕もそう思ってた」
シュテルがゴロリとベルンに体を向けた。
ベルン越しにシュテルと目が合って、なぜか、気まずく思う。シュテルも同じ気持ちだったのか、慌てたように目をそらした。
俺はゴロリと仰向けになり、空を見た、ベルンと同じように空に手を伸ばしてみる。