【web版】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(コミカライズ:男装令嬢が性別を隠して士官学校に入学したら、王子様と騎士様が執着してきます)
そして持ち寄ったお菓子とランタンを囲み、秘密のお茶会だ。
「じゃ、カンパーイ!」
ビンをぶつけて僕らは抜け出しの成功を祝いあう。冷たいジュースはベルンの魔法のおかげだろう。
たわいもない話。暗いからなにをするわけでもない。
それなのに楽しくて、秘密の共有にドキドキする。
僕はチョコレートの包みを開けてみる。不意に指先に感じるヌチャリとしたイヤな感覚。包装紙の隙間から泥のように漏れる甘い香り。興奮した体温のせいでチョコレートは少し溶けてしまったようだ。
ガッカリして、開けようとするベルンを止める。
「ベルン、チョコは空けないほうがいいかも。溶けちゃってたよ」
気まずい気持ちで告げると、ベルンはなんでもないように笑う。
「だったら冷やせばいいんじゃない?」
そう言い、僕の手のひらごと包みこみ、ヒンヤリとした風でチョコレートを冷やす。
驚く僕にベルンはウインクする。
「ね? これで問題なし!」
そういうと、残りのチョコレートにも冷気を当てる。そして中のひとつを取ると、ポンと口の中に放りこんだ。
「うん。美味しい!」
僕も続いてチョコレートを口に入れる。口内に広がるチョコレートの甘み、その奥に薫るコーヒーヌガー。
蕩けて少しほろ苦い。