【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
お兄様の部屋のドアをノックして走り去る。お兄様にはこれで十分。
お姉様の部屋はノックして中に入る。
「お姉様、ヴルカーンのおじさまがみえられました」
「あら、にぎやかになりそうね」
お姉様は花がほころぶように笑った。
私は窓の近くに椅子を二客用意した。お姉様は体が少し弱いから、窓の近くで外の様子が覗えるようにするのだ。きっとお母様はこちらに来るだろうから、椅子は二客だ。
「では後ほど!」
待ちきれなくて庭へ出れば、牧羊犬のオブリがエスコートよろしく私の脇に寄り添った。あまりに紳士的で、思わず笑ってしまう。
ふさふさの茶色い毛を撫でていれば、二つの影が落ちて来た。お父様とお兄様だ。