【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 急いで厩舎に馬を繋ぎ、家に入る。

「お父様! ヴルカーンのおじさまの馬車がみえました!」
「ああ。もう着いたのか」
「西の森を抜けたところです」
「まだしばらくあるかな? ベルンは着替えておいで」

 お父様の優しい声に頷いて、私は急いで部屋に戻った。
 ばあやがはしたないと眉を顰めたけれど、いつものことだ。

「ばあや! お気に入りのワンピース、あった?」
「若草色のものですね。すぐにご用意いたしますよ」

 ばあやは柔らかく微笑んだ。

「リボンは新しいレースのものにしましょうか?」
「ええ! 可愛く結ってちょうだい!」

 乗馬用のブーツとパンツを脱いで、お気に入りのワンピースに着替える。
 簡単に一つ結びしていた髪を、ばあやが解いて丁寧に梳く。今度はハーフアップに結い直して、結び目に淡いグリーンのレースを載せた。
 鏡の前でクルリと回って確認する。

 うん、イイ感じ! 

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