【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 ヴルカーンのおじさまはお父様の昔からのお友達で、社交シーズンの終わった秋から冬にかけて、アイスベルクの領地へやってきて狩りを楽しみ、隣接するベルカーンの飛び地を見に行くのが毎年の習わしになっていた。
 王都からのお客様に会う機会の少ない私にとっては、珍しいお話を聞かせてくれる楽しいおじさまだった。

「今日はこの子を連れてきた」

 おじさまの後ろから現れたのは、おじさまにそっくりな男の子だった。
 褐色の肌、白髪混じりのおじさまの髪より真っ赤な髪。

「わあ、良いなぁ! あなた、将来おじさまみたいな可愛いピンクの髪になるのね!」

 そういえば、辺りがシーンと静まり返った。
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