【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 魔法自体は誰もが少なからず持っている。ある種の個性だ。
 ただし、この国では強い魔力を持つものはなぜか貴族に多い。
 俺も炎の魔法を使えるが、ベルンが使うのは初めて見る。なぜなら、魔力の大きいことが多い貴族の子供達は、使うことを制限されるからだ。

 たとえば、大人のいないところでは使わない、そんな約束をさせられている。俺もそうだ。

 パキパキと凍りつく水面に、子どもたちが期待に胸を膨らませ目を輝かせている。
 水面に浮いたブーメランまで氷ついたところで、ベルンが氷の上を駆け出した。

 ベルンは諦めなかったのだ。俺がイイ子のふりして捨てようとした気持ちを、ベルンは拾いに行ってくれる。
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